鎌倉市で家を建てる際に、『埋蔵文化財包蔵地』という耳慣れない地域に該当している場合が多いです。
簡単に言うと、『遺跡が出る』ということなのですが、調査が必要になると余分なコストがかかり、とても大変です。しかしながら、設計士や施工会社でも本当に理解していない事があり、制度もとても分かりにくいものです。後で困らないように、市役所で調査し、理解してから土地の購入に進みましょう。
以下に、経験上何回か調査を行って初めてわかった事を書きます。
1.『埋蔵文化財包蔵地』に当てはまったら、絶対に遺跡が出るのでしょうか?
→実は指定されているからといって、必ず出るわけではありません。市役所の
窓口で調査をし、だいたいの事が分かります。
(近所の情報が記録されていれば、予測がつきます)
2.どのような場合に調査になるのでしょうか?
→埋蔵文化財包蔵地で、杭を打つ建物を建てたり、地面より60センチ以上掘って
基礎を作ろうとすると、埋蔵文化財を壊す恐れがあるので、まず試し堀をし、
出てくる場所なのかをチェックしてもらいます。遺跡が発見されれば、調査が必要
となります。
→この時に、ほとんどの方が理解していないのが、試し堀で立派な土器が発見され
なければ、調査がないだろうと思っている事が多いのですが、鎌倉時代などの地層が
出れば、その層自体が遺跡のような扱いになっていて、多くは調査必要という判定に
なることが多いのです。
→調査必要になった場合、お金と時間がとてもかかります。
・住宅の場合、公費で調査をしてもらえるという前提なのですが、なんと
半年〜10ヶ月くらい待たないと調査してもらえません。そんな馬鹿なとおもいます
が、調査できる人材が限られており、順番待ちになります。
時間の余裕のある方はそれでも良いかもしれませんが、住宅ローンで家を建て
る方は、金利もばかになりません。そこで別の手段『民間の会社』で調査を依頼
する。という方法を考えることになります。民間ですと、見積もりをしてOKであれ
ば、1ヶ月後くらいから調査できることが多く、かつ、民間なので、調査期間も1〜
1.5ヶ月程度で終わらせられます。
しかし、民間で調査すると、お金はかかります。2m程度掘るのですが、手作業で
調査しながら、何人もの人件費がかかり、住宅の規模でも、150万とか200万程度か
かることがほとんどです。 したがって、建物を建てる予算しか組んでいないと、
調査必要となった時に困りますから注意が必要です。
また、時間はあるから、半年待っても役所で調査をお願いしよう!となる場合も
ありますね。しかし、それでも予想外の事があります。『調査員』は遺跡の調査し
かしません。最初に、ユンボで1mくらい掘ってくださいとか、水を用意するとか、
工務店にしてもらう必要がある費用は、施主持ちとなるので注意が必要です。
3. 木造で、基礎の深さも30センチくらいのべた基礎でやるつもりだから、調査必要
ないね。とここまで読んだだけであれば思いますね。
ところが、その場合でも、もう一つ注意点があります。
建物を建てる場合、今は100%『地盤調査』をやりますね。地盤調査の結果が悪ければ
『地盤改良』や、『杭』を打った上で基礎を作らなくてはいけません。
この場合、杭は支持層に届くまで、数メートル打ちますし、地盤改良も地表面1mとか
の層を、改良させるわけですから、これらは遺跡を壊す事になります。
従いまして、調査が必要と言われます。
この場合、例えば地盤改良に150万、遺跡調査に150万などというダブルで費用がかか
ります。
せっかく良い土地を見つけて、建築費もなんとかいけるだろうと思って進めていっ
てもいざ着工前に調査をしてみると思わぬ費用がかかり、建築費をコストダウンする
必要があった。とならないように、入念に調査したうえで、ある程度は予測して予算
を組んでおきましょう。
4.そうは言っても予測は難しいのでは?
→遺跡が出るか出ないかは、役所で調査をするとほぼ出そうな地域かは分かります。
あとは、地盤改良が必要になりそうかチェックをすれば良いわけですが、
不安な場合は、木造の建物であれば、『スェーデンサウンディング試験』を行えば、
結果はすぐ分かりますし、費用も4万円前後ですから、土地がすでに入手済みの場合は
調査をしてしまうということをお勧めします。(工務店が決まっていなくても、設計
士が依頼して調査してしまうことができます。但し、瑕疵担保保険は、工務店にから
めて地盤の保険もかけるため、最終的に依頼する工務店が、調査した調査会社と契約
していない場合、新たに工務店経由で調査をする必要があるかもしれません。その
あたりは、無駄になっても、かかる費用を最初に想定したいか、余裕があるので、
かかったときは払えばいいねと思えるかどうかです。
土地を購入前の場合は、近隣の情報を得るか、とりあえず予算上は含めておくこと
が必要でしょう。